ページを繰る手が止まらなくて、仕事を休んだ。
姫野カオルコを久しぶりに読んだ。『変奏曲』が好きだ。次点で『コルセット』。
昔は読めなかったドイツ語の部分もスラスラ読めたし、よく分からなかった「小豆相場」も「あー、小豆の先物投資失敗したのかぁ」と理解出来た。
高校卒業以降脳味噌が腐ってゆく一方だと思い込んでいたけど、そんなことは無かったことに安心した。
初めて『変奏曲』を読んだ中学二年生の時、自分を洋子に、妹を潤子に重ねて読んでいた。男顔な自分が嫌だったし、女性らしい妹が羨ましかった。
今、妹は蓮舫もびっくりのショートカットにしてボーイッシュな格好をしているし、私はお客さんからポメラニアン、森戸知沙希ちゃん、巫まろ、ファンビンビンに似てると言われるようになり、大分女の子っぽい存在として見てもらえるようになった。
妹は私になりたかったし、私は妹になりたかった。お互いがお互いの幻影を追いかけ続けて大人になったんだなと思うと感慨深い。
中学生当時から、洋子が働いている赤線宿の描写が1番好きだった。寝具に愛する弟に貰ったロケットを括りつけ、自分を弟に見せることで客体化する様が、よかった。