放蕩娘日記

人生が辛い倫理オタクのブログ

あれから何人かの男の人と付き合ってみたりして、所謂普通の女の子が言う「幸せ」な状況を何度も味わったのに、幸福でないのは、貴女が残した棘が心から消えないからだと思う。

 

彼女といた時間より尊い時間が、2015年3月から更新されずにいる。上書きできるような楽しいことがない、というわけではないはずなのに。

 

バリバリ広島人の父親なのに父親がアメリカ国籍があるからアメリカハーフだ、と言ったり、父親が医師と弁護士のダブルライセンスで、医師の方はペーパーだから専攻がない、と言っていたのも、私と話を合わせるためについてくれた嘘なのかと思うと、私の代わりに十字架を背負ってくれたように感じて、なんだか尊く感じてしまう。

 

虚言癖の女は沢山見てきたけれど、皆くだらない経歴詐称みたいな嘘しかつかなくて、彼女のように美しくて面白い嘘で私をワクワクさせてくれる女は一人としていなかった。

もしもまた出会えるなら、また面白い話を聞かせて、私の瞳に光を与えてほしい。

それができないとわかっているから、あの西条の夜に、蜘蛛の巣に引っかかってしまった蝶の如く、君の吐く美しい嘘に絡め取られたまま、身動き取れずに衰弱して死んでしまいたかった。

 

貴女に貰った兎の文鎮は、開封できないまま実家の本棚に飾ってある。貴女が貸してくれた本を、今の恋人が読んでいるのを見て、遅効性の毒を感じた。