黒服さん
初めて担当に着いてくれた黒服さん、元気にしてるかな……
初出勤の日に早く来すぎて、黒服さんたちの朝礼の時間に来てしまった私に「タバコでも吸ってな〜」と優しく声をかけてくれたおじいちゃんが私の担当黒服さんだった。当時、まじで愛嬌もクソもなくて「お客様は吸わない真面目な子だと思って指名するのかと思うと、とても吸えないです……」なんて可愛くない返しをしたのに、それを真面目でいい子だ!と褒めてくれたのが嬉しかったのをまだ覚えている
ドレス、太ってるし黒か紺が……と店長に言った時に「えりなちゃんかわいいんだからピンクだよ!」とピンクのミニドレスを選んでくれた
お客様を返したあと毎回、えりなちゃんよかったよ!と褒めてくれた
嫌なお客様にあたってへこんでいたら、歌舞伎町に飲みに連れていってくれた
2chで炎上した時火消しをしてくれた
時々ふざけて、「おじさんと枕してくれよ〜う」なんて言って笑わせてくれた
仕事がどんなに忙しくても、いつも駅まで見送ってくれた
私に意地悪した女の子のことを一緒に悪く言ってくれた
店のナンバーも、実はおじスタがいいように操作してくれてたんじゃないかと思う
「どうしてそんなに優しくしてくれるの?」と聞いたら、おじスタは「死んだ奥さんと似てるから……」と言った よくある口説き文句とかじゃなくて、多分ほんとに似ていたんだろうなと、今になって思う
扁桃炎で2週間休んだ後出勤したら、目を紫に腫らした担当がいた
「おじさん、片目見えなくなっちゃった 北海道に帰るよ えりなちゃん、元気でな」
そのあと いくらメールを送っても返事はなかった 夜の街の人間関係は深くて浅くて、切ないものと知った