放蕩娘日記

人生が辛い倫理オタクのブログ

怪文書

平野は僕のミューズだった。

締りの良い膣を連想させるキュッとした足首も、肌が弱くて汗をかかないように遅めの時間に日傘をさしながらゆっくり歩いて登校してくる姿も、文字映えして好きだった。

何よりも、平野が、彼女の両親の長年の不妊治療の末に生まれた存在であることが、尊くて羨ましくて素敵に感じた。僕は、ほぼほぼデキ婚みたいな形で生まれてしまって、そのせいで母親は博士課程を中退して、事ある毎に「お前のせいでアカデミックのハシゴを外された」と恨み言を聞いていたので、平野のように「望まれて生まれた子」とは違った、価値のない存在なのだと感じていた。

平野と僕は同じ皮膚の病だった。平野は平野の両親の計らいで、毎朝保健室で保冷剤を貰って、肌が痒くならないよう手当をしていたが、僕は親が藪医者であるせいで「痒みで死んだ人間はいないんだ」と父親に恫喝されて、痒みを訴えるこちらが悪いのかと思うくらい追い詰められていて、病院に行くこともなかった。

 

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みたいなクソみたいな小説というか怪文書を高校時代に書いていたんですが、そんな頃に七瀬さんはちゃんと毒親をコンテンツに昇華して小説にしててすごいなぁと思いました。(作文)

尚、この怪文書の完全版みたいなのを読んだ中嶋の母親に「さぎちゃんこんな小説書いてるからもっとブスだと思ってたけど、美人じゃない〜」と気に入られ一緒に歌舞伎を見に連れていってもらったりしたのはいい思い出です。(は?)