祟り
「あなたは人じゃなくて、学問と結婚するんだね♡」って、ナカジマに褒めてもらったのは、高校生の頃だったか、大学初期だったか。
悪口で「アスペ」と言われるくらいには、当時、学問に耽溺していた。毎朝、私の文学評論に付き合ってくれたナカジマと納戸さん(そして時々森山)には感謝している。
大学に入ってからは、特にそれを共有する友人は居なかったけれど、1人でしこしこ勉強していた。勉強するのが好きだった。休み時間も空きコマも、常に本を読んでいた。「何の本を読んでいるの?」と話しかけてくる同期に対して「面倒だ」と思うくらい、心が人でなく文字に向いていた。
当時の恋人と遠距離だったから、会う頻度が低くても済むから良いなと思っていた。休みの日も大学の図書館まで来たりして、(何故それをセレクトしたのか謎だけど)地下一階の中央の新書の棚の文系学問の本を全部読んだ。
君が「北海道から」「試験前なのに時間を作って」会いに来てくれたとき、「え〜勉強会前々から決まってるから、ごめんけどそっち行くわ」と断ってしまった。その事で君にぶちギレられた時、「は?」と思ったけど、今振り返ると私がちょっとサイコパスすぎて、うわぁ……ってなる。
今、私が不幸なのは、君を幸せにできなかった祟りなんでしょうか。
それとも、修士に行くために水商売で貯めたお金を、夜逃げ兼推しの近所に引っ越すために使ったことに、学問の神が怒っているからなんでしょうか。
今、私はとっても不幸だから、どうか許してください。かつてないほどに蔑ろにされている私を見て、因果応報だと言って笑ってください。